合気道開祖の教え

2)要約

次に、これから順を追って開祖の教えを解き明かそうと思いますが、かなりの紙面を割くことになり、 読み進むに連れ混乱を増すばかりになるかもしれません。
そのため、最初に大意を要約しておきます。

  • 開祖が『真の合気の道』即ち『武産合気』、『愛の武道』を完成されたのは66歳か67歳(昭和25年(1950)頃)で、 それは開祖に降ろされた神示(神様のご命令)によって出来た。
  • 神示が降ろされたことにより、この神の負託に応えるため、今まで習った武術を忘れ、改めて『宇宙の真象』を眺めて武の本質を求める研鑽を積まれた。
    また、それを『言霊』によって解き明かそうとされた。
    武技の工夫も尋常ではなかったが、人間とは何か、宇宙とは何かという哲学的思索と宗教的修行を重ねられた。
    これが人格的研鑽(精神科学)と称されるものである。
    その結果、「人間は一霊四魂の分霊分身である(我即宇宙。天地同根・万物一体)」というのが『宇宙の真象』であって、合気道の気の力(呼吸力)は、天地創造の神(愛)の力即ちむすびの力であるということを悟られた。
  • そして、今までの、強い者が弱い者に勝つ魄(体主霊従)の武術から、それを土台とし、霊(気)が主体となった魂(霊主体従)の武道『武産合気』を創始された。
    この魂の武道は、『真空の気と空の気のむすび(むすびの力)』即ち『魂の比礼振り』を根幹とするもので、宇宙一杯に広がって争うものがない『愛の武道』である。
    これは、武術を単に理念化・宗教化したものではなく、真の武を深く掘り下げた結果、この理合が宇宙の真理・宗教的真理そのものであったというところの悟りに基づくものである。
    この確信を深められた結果、この真の武を表わすのに不変の真理(宇宙の真象)について述べた言葉、即ち『古事記』や『霊界物語』などにある神道的な言葉や概念を用いられた。
  • 開祖が創始されたこの『武産合気』の道は『愛気即ち合気』の道、『合気道』として敷衍されたが、これはまた、天地同根・万物一体の理から気の妙用・言霊の妙用の技そのものが、 そのまま地上天国建設・宇宙建国完成の祈りとなる行、即ち神業でもあった。
  • 気の妙用・言霊の妙用を行うためには、宇宙の霊妙なる精(妙精、精気、エネルギー)を自分に取り込むことが必要であると教えられているが、 開祖は、妙精吸収のために顕斎・幽斎、下座の行などを積まれている。