合気道開祖の教え

10)地上天国建設

開祖の『地上天国建設、宇宙建国完成』は、合気道から離れて特別なことを行うことではありません。
合気道を行じることそのものが、地上天国建設の大道なのです。お互いが生かし合える場所が地上天国なのです。

「さむはらとは、宇宙森羅万象の気をととのえて、世のゆがみを正道にもどすことをいう。
日月星辰も、人体もことごとく気と気の交流(原子の結合)の結果生まれたものであるから、世界の気、宇宙の気を調整しなければ、 やがては邪気を発して、風害、水害、火災、戦争、病気、飢餓がおこる。
このすべての邪気を、天授の真理によってみそぎして、地上天国の極楽浄土を建設することを、さむはら(武産合気)という。
私はこれを、正しい意味の武道とよんでいる」

「合気とは、宇宙の中心に立って、ただよえる世を立て直す役目を持っておる処の一つの道であります。
自己をみそぎ、人を国を宇内をみそぎ、神の名によって進むのであります」

皇太子殿下が、御成婚前にわざわざご挨拶のために山荘を訪れられたという笹目秀和仙人(1902〜1997、紅卍字会東京多摩道院統掌)が 書かれた次の文を読んで、開祖の合気道は五井昌久先生(1916〜1980、白光真宏会 初代会長)の世界平和の祈りと同じものであることが分かりました。

「今、相楽氏の予言(1982年、元気象庁予報官であった相楽正俊氏が『富士山大爆発』という本を出し、1983年9月10日から5日間に富士山に大爆発が起こって、 現在の五合目以上を吹き飛ばすという予想)によって、その本を読める数十万人、伝え聞いた数百万人が"富士は爆発する"と想念するところに、 その爆発を助けるということになる。
それ故に、どうかおもい改めて"富士は絶対に爆発しない"と念慮を新たにして頂きたいと思います。
富士に道場を持つ白光真宏会は、言うまでもなく、五井昌久先聖の流れを汲む一統の祈りの場である。
先聖は、真正なるわが道院(大岳山に開いた多摩道院)の建設に意を注がれた御仁であったが、天界に召された今も尚、顕幽を駆け巡って、 人類の平和実現に努力されて居られる現われの一つとして、後継者昌美先生を始めとする敬虔な人々によって、日本の象徴たる富士に祈りの大道場を造営されて、 世界平和の祈念に終始されている。
この想念こそやがては日本の平和!世界大人類を平和に導き得ることは必定である、と同時に富士を安泰にする」

開祖は、「私のことを真実に知っているのは五井先生だけだ」と話されています。
お二人は会われてすぐ肝胆相照らす仲になりましたが、お互いに想念(愛の気、世界平和の祈り)によって地上天国建設、 世界平和を達成されようとしていることを尊敬し合っておられました。
この業の故にお二人とも体から光が出ていましたが、それが互いに見え、自分自身にも見えていました。
それで、真の姿を知って、お互いを『神の化身』と称え合っていました。

「私の真の姿を認めてくれたのは、五井先生と出口王仁三郎聖師だけだ。
五井先生のお仕事は、実に立派な素晴らしいお仕事で、地球の修理固成ばかりでなく宇宙の修理固成をなさるお浄めです。
あの人は、いや人ではない、神の化身ですよ。五井先生は世にもまれな聖者です」

「私は日々一切の執着を除く修行をして、自分の光身を見た」

「天の私(真我)に地の私が合体して停っている・・・その時以来、私は光そのものとしての自己を観じ」(五井昌久著『天と地をつなぐ者』)

その五井先生が開祖の演武を見られて、
「植芝先生の合気道演武は、邪気邪霊を祓うお浄めである。
技をふるわれる時、その突く瞬間、ひく瞬間、邪気邪霊をはらい、そして一つ突けばたくさんの魔性がふきとび、一つ引けば無数の悪魔が浄められる」 と言われています。
お浄めですから、肉体でお祓いをするのではなく気(魂の比礼振り)でするのです。
そのような合気道になりたいものです。

「合気はある意味で、剣を使う代わりに自分のいきの誠をもって悪魔を払い消すのである。
つまり魄の世界を魂の世界にふりかえるのである。 これが合気道のつとめである」

「これ即ち、世界平和への祈りの案内者として、みそぎの道を示し、すべての気の清らかなる完成和合の羅針盤としてご奉公するの道であります」

個人の人生においても同じことが言えます。
悪い星の下に無意味な人生を送るために生まれてきた人は一人も居ません。
自分が悪い星の下に生まれてきたという思念を持つことが、自分の人生に影響を与えているだけです。
三重苦の宿命を背負って生まれてきたヘレン・ケラーが、
「"幸福の扉"の一つが閉じられる時は、別の"幸福の扉"が開きます。
けれど、私たちは閉じた方ばかりを眺めていて、こちらに向かって開かれているもう一つの扉に気付かないことが多いのです」
と言っていることをよく考えて、自分の人生にも気の妙用、言霊の妙用を生かしたいものです。
自分の人生そのものが神業である、即ち神から与えられたものであると考えるだけでも、今まで見えなかった光が見えてきます。
大宇宙と小宇宙は繋がっています。
地上天国は自分の中にもあるのです。

「自分が光となって宇内を浄めていかなければいけません」

「人間の心で行う思考は、人生の一切を創る。
これが数十年来かかって考えた苦心の末、ようやく悟った、人間の生命に絡まる宇宙の真理だった」(『運命を拓く−天風瞑想禄』)

「徳を得れば一天世界ことごとく 風に木草のなびくことわり」(新陰流第五世 柳生連也斎厳包)